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───まただ。また、同じだ。
『忌々しい化け物めッ!! さっさとくたばりやがれ!!』
『嗚呼、恐ろしい・・・・・あの時殺しておくべきだったのよ』
『我が一族の汚点だな』
ああ、痛い。凄く痛いよ、誰も助けてくれないの?
───こんなにも痛いのに、誰も?
『能力封じの魔法、忘れるなよ。いつ暴走するかもわかりゃしねぇんだからな』
『ったく、さっさと死んじまえばいいのにな』
『そう言うなよ──死にたくても、無理なんだから』
『ちっ、めんどくせぇ』
私は何もしていないのに。・・・・・なんで、こんなことばかり。
皆・・・・・皆怖いや。
お願い。睨まないで、殴らないで。私、何もしないから。
『うわっ、こっち見てやがる。やべー・・・・・うつったらどうしよう』
『や、止めろよ。んな笑えねー冗談・・・・・気味わりぃって。てか、なりたくねー・・・・・』
『さっさと終わらして帰ろーぜ。早く狩り行きてーし』
待って、待ってよ。私も・・・・・私も帰りたいのに。
お母さんに会いたいのに───
・・・・・必死に伸ばした手は届かなくて。
『お母さ、』
『──あら、忘れたの? ・・・・・お母さんは、ずっとここにいるじゃない』
そう言って傍で微笑んでいたのは、誰だったっけ・・・・・───
「───起きて下さいっす!!」
「のわっ!?」
耳元に突然の大声。思い切り飛び上がった私は、横で心配そうに頬杖をつくクライシュを見た。
──あれ、今意識失ってた・・・・・?
びっしょりとベタつく寝汗が気持ち悪い。
それに、相当な悪夢でも見たのか、とでも思うほどバグバクと心臓が煩く跳ねていた。
何か嫌な夢を見ていた気もするが、何故だか思い出せない。
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