19.戦力強化週間

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「・・・・・、大丈夫っすか?」 「あーうん、だいじょーぶだいじょーぶ。大丈夫だから・・・・・」 眉を八の字にするクライシュにも、そう答えるのが精一杯で、上手く頭が回ってくれない。ぼんやりとした寝起きの思考で、先程までの事を思い出す。 ───確か、図書室から持ってきた『伝説上の希少種族』を読もうと開いて・・・・・それで。 ハッとして自身の腕で抱き抱えている本を見る。中を開いてみると、あの赤い文字は消えていた。 そこにあるのは、何も書かれていない古臭い羊皮紙である。 ホッとする反面、何か期待外れのような気持ちを抱いた。 「──ならいいんすけど・・・・・もう夕食の時間っすよ?」 「何ですと!?」 そして、「それに」と続いてさらっと落とされる爆弾。 「ウェルさん(・・・・・)も、待ってるっす」 その発言は、ぼんやりしていた私のモヤモヤを見事に吹き飛ばしてくれた。 サァーっと自分でも顔が青ざめていくのが分かる。 ガタン、と自分の意思よりも先に身体が動いた。本を懐にしまい、落ちるように床へと降りると、備え付けのクローゼットへと急ぐ。 ピシィッと固まった私の表情。 ───待たせちゃうのはやばい!!
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