19.戦力強化週間

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十分にこの姿を堪能した後に外へと出ると、待ってましたとクライシュが姿を現した。翡翠色の瞳が顔を覗き込む。 「もー遅かったすね」 「レディの支度は時間がかかるの」 「・・・・・、レディ・・・・・なんすかね?」 「おいコラ」 んーっと真面目に考え込むクライシュに、無意識に素で返してしまった。 ──しかしクライシュよ、そこは考え込む所ではない筈だ。 その無駄なやり取りに挟まれる冷たい声。 「では、参りましょうか」 相変わらず表情を変えないファーファラの案内によって、ウェルバートが待つ大部屋へと向かう。 数分の徒歩の後、例の如くファーファラが扉を開けると、案の定不機嫌そうなウェルバートの顔が。 「・・・・・、遅かったな」 その若干の空白が不機嫌さを物語っている。 余計に強ばった笑いを浮かべつつも席につくと、間を開けずにウェルバートが口を開いた。 「・・・・・寄り道でもしていたのか?」 「いえ、寝てしまって・・・・・」 「そうか──・・・・・そう言えば、人だったな」 「・・・・・、あの、今の今までどんな認識を?」 「玩具(ペット)」 即答したウェルバートに、「冗談でしょう?」と驚愕した顔を向ける。 そんな私に、真剣そのものだったウェルバートの表情が不意に緩んだ。 「冗談だ」 「・・・・・恐ろしい程全く(・・)笑えませんね」 『全く』という部分を特に強調し、キッパリと言い切る私。 ・・・・・冗談にすら聞こえない事は黙っておこう。
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