20.行使不可能

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日付が変わった翌日。私は『必携詠唱集~初級編~』を片手に兵舎へと来ていた。 無論、ただ遊びに来たのではなく、フィウストに聞きたいことがある為である。 それは、魔法の使い方について。 昨日の夕食後、シャワー云々を済ませた私は、雫を滴らせながら必携詠唱集を開いて読み始めた。 〝魔法とは、体内の魔素を練ることで魔力へと変化させ、脳内のイメージを詠唱を媒介として展開、発動するものである〟 魔法書共通で書かれていた内容が、ソレだ。 ──言っている事は難しくない。理解も出来る。しかし、何故なのだろうか。 何度やっても、魔法が成功することは1度も無かった。 魔素から魔力へ変える事は難なく出来たが、そこから先が出来ない。 どういう訳か、詠唱呪文を唱えると折角集めた魔力が周囲に霧散し、消えてしまうのである。 心の内で唱えても結果は同じ。 幸いな事に、霧散しただけでは体内の魔素は減らないみたいだが・・・・・これには困った。 変換で賄える自然(エレメント)系ならともかく、無属性に属する魔法──例えば、転移魔法等が使えないのはまずい。 本格的に危機感を覚え始めた私は、手始めにクライシュに聞くことにした。 ───しかし返ってきたのは、曖昧な答え。 『魔法の使い方っすか? んー・・・・・バーっとやってグゥイーンって展開するんすよ』 『なるほどわからん』 という訳で、フィウストに会いに来たのだが・・・・・どうやら留守らしい。
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