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私が指差したのは男性ではなく、その手の中にある物──青い魔核だ。
驚いた男性がばっとそれを背後に隠す。───が、そんな事で誤魔化せるわけがない。
無言でじっと男性の顔を見つめた。
「・・・・・うっ」
そんな無言の圧力に怯む男性。
お気の毒にと言うような視線が一点に集まった。仕方なしに男性は、渋々と後ろに回していた手を出す。
「・・・・・、これがその魔核だ」
「わぁ、綺麗!! ───いいなぁ欲しいなぁ」
無邪気にキラキラした表情でそれを見た。パァァと顔を輝かせると、場に変な空気が流れ始める。
こんな小さな子供が欲しがってるんだから───と言うような雰囲気。
断ろうとしていた男性に、他の騎士団員たちの生温い視線が集中する。
「いやそれは・・・・・って、ちょっ!? お前らもそんな目で見るなよ!!」
「でもさーこんな子供が欲しがってるんだぜ? ここであげなかったら人間として・・・・・なあ?」
「そうそう、男が廃るってもんよ」
「んだんだ」
大勢からの同意。あげるのが当然だと、全員が頷いていた。
・・・・・なかなか、協調性があるようで。
「お前らまで・・・・・って、こんな時にだけ団結するんだなお前らは!!───てか、お前のそれは・・・・・魔核か?」
憤慨していた男性だったが、漸く私の手にある氷に気づいたようだ。自分のと見比べては、不思議そうに凝視している。
最高ランクであるSランクは紫、他ランクにもそれぞれ色は付いているが、その中に〝薄い虹色がかかった透明〟はない。
さっきまでは遠巻きに眺めていた者も、珍しいもの見たさに、ぞろぞろと周りへと集まってきた。
腰を折り顔を近づけては、自信なさげに各々の予想を立てる。
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