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「───氷か? いや、でも溶けていないしな・・・・・」
「どうやら、魔核のように魔力も帯びているようだぞ? 魔核にしてはかなり強い魔力のようだが・・・・・何だこれは」
「こんな色見たことがないな・・・・・」
一応、魔法にも応用として氷属性が存在する。・・・・・が、皆その結論に辿り着けないのには理由があった。
詠唱式のない───つまり、何も目的が無く造られた魔法は、魔力が切れてしまえばすぐに消えるという常識。
僅かな時間原型を留めておくだけでも、上級である第7級魔法以上の魔力を要する。
要するに、有り得ない。
いや、有り得てはいけないのだ───そんなモノは。
「・・・・・、これをどこで?」
近くで見ていた1人の騎士団員が聞く。その目が物欲に満ちている事に、私は気づいていた。
───彼だけではない。全員の目が爛々としている。
くす、とこっそりほくそ笑む。完全に興味が移ったようだ───餌は撒き終えた。
「・・・・・ね、欲しい? 本当はフィーさんにあげようって思ってたんだけど───あげよっか?」
ナイショだよ、と人差し指を口に当てて言うと、あからさまに変わる雰囲気。
ゴクリと誰かの喉が鳴った、次の瞬間。
「い、いいのか!? じゃあ俺に!!」
「いやいや俺だ!!」
俺だ俺だ、の言い争い。さっきまでの協調性はどこへ行ったのやら───全く、呆れるばかりである。
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