20.行使不可能

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目の前の醜い争いを見て困ったように息を吐くと、私は、まあまあ、と一旦それを止めた。 「・・・・・幾ら何でもケンカはダメだよ? じゃあね、こうしよう───私からコレを奪えたらあげるってことで」 途端、皆の瞳の中に怯えが見える。 「・・・・・無理だよ」と誰かの声を皮切りに、「あんなのに勝てるわけがない」とあちらこちらから聞こえてきた。 ───それでも王宮騎士団員(おとこ)か!? 四方八方から聞こる何とも情けない言葉に、あのねぇ、と頭を抱えそうになってしまう。 息を吐き出すように呟いた。 「・・・・・皆、魔法禁止」 「えっ?」 「私も含めた全員、魔法使うの禁止なの!! 武器もダメだからね!?」 これでどうだ、と胸を張った私の言葉を聞き、顔を見合わせ始める騎士団員たち。 「それなら・・・・・なあ」 「ああ、それならいけるかもな」 「よし、やろーぜ!! 王宮騎士団の底力を見せてやる!!」 あの滅茶苦茶な魔法が無ければ勝算がある───その場にいる全員がそう思った。体術ならば自分たちが勝っているとも。 諦めていた者もやる気に満々に拳を振り上げる。 うおおおおぉ!!と、欲望に(まみ)れた雄叫びをあげる様子は何とも言い難い光景だった。 その盛り上がりについていけない私は、1人寂しく微笑む。 「うん・・・・・まあ、やる気になってくれてなによりかな、うん・・・・・」 ───いえ、気になんかしてないですよ全然。
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