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「おーいこっち来たぞぉ!!」
「よっしゃ!! やっと捕まえ──」
眼前に迫る手。寒気を感じ、本能的に身体が動く。
「───いぇすろりーた、のーたっちだもんっ!!」
又しても身体能力任せの逃げ。唯一空いている宙へと、その身を投げる。
意外と天井は高く、人間である騎士団員が飛び上がっても私には届かない。
───なるほど、天か。
ふむ、と私は天井を手をつくと、身体の向きを変えて思いっきり手で押す。
その勢いを殺さずに、少し離れた集団の中に飛び込んだ。
「うわっ!! 飛んできた!?」
「に、逃げろ!! ぶつかる・・・・・!!」
逃げようとするも、一部に集まっていたせいか上手く逃げることが出来ない。逃げ損ねた騎士団員の肩に、とん、と足を乗せる。
「ちょっと失礼」
「・・・・・うわっ!?」
ぎょっとした表情。
踏み台にされたと気づいた時には、既に私の身体はふわりと宙を舞っていた。
このまま宙に───と思った私だったが、突然ガシッと掴まれるローブ。
「よっしゃあ、捕まえたぞ!!」
えっ、と声を上げる間に、ぐいっと引き戻される感覚。容赦なく引っ張られ、服が喉にめり込む。
息が詰まる。───苦しい。
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