20.行使不可能

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「おーいこっち来たぞぉ!!」 「よっしゃ!! やっと捕まえ──」 眼前に迫る手。寒気を感じ、本能的に身体が動く。 「───いぇすろりーた、のーたっちだもんっ!!」 又しても身体能力任せの逃げ。唯一空いている宙へと、その身を投げる。 意外と天井は高く、人間である騎士団員が飛び上がっても私には届かない。 ───なるほど、(うえ)か。 ふむ、と私は天井を手をつくと、身体の向きを変えて思いっきり手で押す。 その勢いを殺さずに、少し離れた集団の中に飛び込んだ。 「うわっ!! 飛んできた!?」 「に、逃げろ!! ぶつかる・・・・・!!」 逃げようとするも、一部に集まっていたせいか上手く逃げることが出来ない。逃げ損ねた騎士団員の肩に、とん、と足を乗せる。 「ちょっと失礼」 「・・・・・うわっ!?」 ぎょっとした表情。 踏み台にされたと気づいた時には、既に私の身体はふわりと宙を舞っていた。 このまま宙に───と思った私だったが、突然ガシッと掴まれるローブ。 「よっしゃあ、捕まえたぞ!!」 えっ、と声を上げる間に、ぐいっと引き戻される感覚。容赦なく引っ張られ、服が喉にめり込む。 息が詰まる。───苦しい。
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