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──そうして遊ぶこと凡そ数時間、お昼過ぎに来たフィウストが、訓練場で起きた惨状を見てぽつりと声を漏らす。
「・・・・・、何だこれ」
「あ、フィーさん」
おーい、と大きく手を振る私の目の前には、死屍累々と表現されるのが適切であろう光景が。
──スタミナ切れの騎士団員たちが倒れている景色なんて、中々見る事が出来ないだろう。
因みに、手当済みではある。無理に遊びに付き合わせてしまったので、後片付け云々はクライシュと一緒にしっかりやった。
「一体何が・・・・・」
呆然と立ち尽くすフィウスト。状況が呑み込めていないようである。
大方、何者かによる襲撃が起きた・・・・・とでも考えているのだろう。
それはそうと、とフィウストの近寄る。そんな事は些細な問題だ。私はやる事が残っているのだ。
くい、とフィウストの服を軽く引いて聞く。
「フィーさんフィーさん、質問があるの」
そこで漸く私の存在に意識を向けたようだ。またお前か、と言うような表情で頭を掻く。
・・・・・その顔が苦労人を思わせるのは何故だろう。
「───・・・・・その前に、ここで何があったのかを10字以内で、わかりやすく説明しろ」
「氷の取り合い」
「は?」
どんな価値の氷だよ、というフィウストのツッコミ。私も同意見だ。
「実はかくかくしかじかで」
「いやいや余計わかんねーよ!! 何だよ、かくかくしかじかって!?」
かくかくしかじかは、かくかくしかじかである。それ以外に説明のしようがない。
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