20.行使不可能

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「これで通じる事がお決まりなのに・・・・・フィーさんったらわかってないなぁ」 「・・・・・俺が悪いのかこれ」 悪くねーよな・・・・・、と真顔で一人呟くフィウストに、「まあまあ」と無理やり手に氷を握らせる。 騎士団員共はスタミナ切れで倒れてしまったので、結局手元に残ってしまったのだ。 自由に作り出せるのに、持っていても仕方がない。 「あ゛? 何だこれ」 何の警戒もなく受け取ると、彼は怪訝そうに手の中の物体を見た。 ──不思議な輝きを持ち、魔力を含んだ冷気を放つモノ。 「───魔核か? にしては冷てぇな・・・・・」 「違うんだなぁーこれが」 やはり、氷というよりも魔核に見えるらしい。 少し首を捻って考えていたフィウストだったが、先程の台詞を思い出し、ああと手を打った。 〝氷の取り合い〟 「まさか、これがその氷か!?」 「そのとーり。察しがいいね」 「・・・・・道理で見たことない色をしている訳だ」 まじまじとそれを見る。その色は、彼の記憶の中の魔核と全く合っていなかった。 そして、視界に入る屍と化した騎士団員。 ──(たちま)ち、フィウストの中でパズルのピースが当てはまる。 目の前の光景と氷を交互に見て、呆れたように頭を抱えた。 「まさか、脳筋ども(こいつら)は氷と気づかずに取り合いを・・・・・」 「いやーほんと馬鹿だよねー」 棒読みで笑った私の肩に、ポンと手が置かれる。 見ると、クライシュがニコニコして立っていた。とても自然(ナチュラル)に会話に加わってくる。 「でも、普通は気づかないっすよ!!」 「───あ、クライシュだ。一人で寂しかったの?」 さらりと言った言葉が、クライシュに突き刺さった。「図星か」と、それを聞いたフィウストも追い打ちをかける。 フィウストの言葉通り、それは図星らしい。 一人(ぼっち)で居て寂しかったのだと言い当てられ、クライシュの目尻に涙が溜まる。
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