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騎士団員全員の手当てが済むと、途端にやる事が無くなり、結局は遊ぶ前の状態へと元通り。宙を見つめる事くらいしかすることが無い。
そしてフィウストがやっと来たと思えば、コウと話に花を咲かせるばかりで、クライシュは放置状態である。
隅でポツンと座りただ眺めるのは、クライシュとて流石に悲しいものがあった。
若干涙目になったクライシュは、まるで子供のように口を尖らせる。
「・・・・・、なんすかなんすか、二人していじめるんすか」
それを見たフィウストが「ガキかよ」と吐き捨てた。再びクライシュに突き刺さる言葉。
じんわりと涙が滲み出てきた。
「ああフィーさんまでそんな事言うんすね!! フィーさんの、フィーさんの・・・・・」
罵る言葉が思いつかず言い淀む。そうして捻り出される罵倒は。
「フィーさんのむっつりスケベ!!」
「何故そうなる!?」
「そうか・・・・・フィーさんはむっつりスケベなのか」
「・・・・・、おい」
反芻した瞬間に、ドスのある低い声共に睨みつけられ、無意識に顔を背けた。・・・・・気が短い奴だな。
重くのしかかってくる無言の威圧に、気づかないフリをして軽く流した。
ため息をつく音が聞こえる。そんなフィウストの呆れた顔が容易に想像出来た。
「・・・・・まあいい」
と、暫くして緩む威圧感。逸れていた話を元に戻す。
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