20.行使不可能

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騎士団員全員の手当てが済むと、途端にやる事が無くなり、結局は遊ぶ前の状態へと元通り。宙を見つめる事くらいしかすることが無い。 そしてフィウストがやっと来たと思えば、コウと話に花を咲かせるばかりで、クライシュは放置状態である。 隅でポツンと座りただ眺めるのは、クライシュとて流石に悲しいものがあった。 若干涙目になったクライシュは、まるで子供のように口を尖らせる。 「・・・・・、なんすかなんすか、二人していじめるんすか」 それを見たフィウストが「ガキかよ」と吐き捨てた。再びクライシュに突き刺さる言葉。 じんわりと涙が滲み出てきた。 「ああフィーさんまでそんな事言うんすね!! フィーさんの、フィーさんの・・・・・」 罵る言葉が思いつかず言い淀む。そうして捻り出される罵倒は。 「フィーさんのむっつりスケベ!!」 「何故そうなる!?」 「そうか・・・・・フィーさんはむっつりスケベなのか」 「・・・・・、おい」 反芻した瞬間に、ドスのある低い声共に睨みつけられ、無意識に顔を背けた。・・・・・気が短い奴だな。 重くのしかかってくる無言の威圧に、気づかないフリをして軽く流した。 ため息をつく音が聞こえる。そんなフィウストの呆れた顔が容易に想像出来た。 「・・・・・まあいい」 と、暫くして緩む威圧感。逸れていた話を元に戻す。
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