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「───で、何でこんな事になったんだ?」
その質問に、クライシュが答えた。
「そりゃあもう、そのままっすね。その氷を氷と知らずに取り合い。結局体力切れで、皆この状態になったんすよ」
「・・・・・・・・」
無言で頭を抱え込むフィウスト。
仮にも王宮騎士団と呼ばれる集団が、1人の幼女にしてやられたのだ。ため息をつきたくもなるだろう。
「魔核と偽ってか・・・・・詐欺だな」
「ええ、詐欺っすね」
「───2人して同意している所悪いけど、私はこれが魔核だなんて一言も言ってないよ」
否定もしていないが、肯定した覚えもない。あちらが勝手に勘違いをしただけである。
それを言うと、「うわぁ・・・・・こいつ悪女だわ」とでも言いたいのか、二人共々引いたような顔をする。
「・・・・・、将来が心配っすね」
「・・・・・ああ、男を弄ぶ悪女になりそうだ」
「おいそこ勝手に決めるな」
私はそんな悪趣味ではない。
「───とにかくっ、その氷はフィウストにあげる。多分、数十日は原型を保てるんじゃないかな」
ご自由にどうぞ、と言葉を付け足すと、二人共〝数十日は保てる〟という言葉に驚いたようだった。
大きさは私の拳サイズと小さくても、綺麗な輝きを作る為に込められた魔力は相当なもの。───なぜなら、大量の空気中の魔素を集め合わせたのだから。
加えて、体内の黒い魔素を混ぜたため、自然消滅はしないだろう。
───この氷に含まれる魔力量以上の相対属性──炎属性魔法をぶつけなければの話だが。
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