20.行使不可能

15/23
前へ
/387ページ
次へ
「───で、何でこんな事(・・・・・)になったんだ?」 その質問に、クライシュが答えた。 「そりゃあもう、そのままっすね。その氷を氷と知らずに取り合い。結局体力切れで、皆この状態になったんすよ」 「・・・・・・・・」 無言で頭を抱え込むフィウスト。 仮にも王宮騎士団と呼ばれる集団が、1人の幼女にしてやられた(・・・・・・)のだ。ため息をつきたくもなるだろう。 「魔核と偽ってか・・・・・詐欺だな」 「ええ、詐欺っすね」 「───2人して同意している所悪いけど、私はこれが魔核だなんて一言も言ってないよ」 否定もしていないが、肯定した覚えもない。あちらが勝手に勘違いをしただけである。 それを言うと、「うわぁ・・・・・こいつ悪女だわ」とでも言いたいのか、二人共々引いたような顔をする。 「・・・・・、将来が心配っすね」 「・・・・・ああ、男を弄ぶ悪女になりそうだ」 「おいそこ勝手に決めるな」 私はそんな悪趣味ではない。 「───とにかくっ、その氷はフィウストにあげる。多分、数十日は原型を保てるんじゃないかな」 ご自由にどうぞ、と言葉を付け足すと、二人共〝数十日は保てる〟という言葉に驚いたようだった。 大きさは私の拳サイズと小さくても、綺麗な輝きを作る為に込められた魔力は相当なもの。───なぜなら、大量の空気中の魔素を集め合わせたのだから。 加えて、体内の黒い魔素を混ぜたため、自然消滅はしないだろう。 ───この氷に含まれる魔力量以上(・・)の相対属性──炎属性魔法をぶつけなければの話だが。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5934人が本棚に入れています
本棚に追加