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「───それで、お前の聞きたいことって?」
お礼と同時に、ポケットの中に氷を仕舞ったフィウストが聞く。
──そう言えばそうだ。危ない、目的を忘れる所だった。
「魔法の使い方について聞きたかったんだけど・・・・・ほら、クライシュに聞いても無駄だったから」
「だろーな、こいつは典型的な本能型だ。そもそも、本能だけで生きているからな」
「・・・・・、フィーさんは相変わらず容赦ないっすね」
俺だってちゃんと考えて生きてるっすよ、というクライシュの主張を無視するフィウスト。とうとう、クライシュは隅でいじけてしまった。
その訴えかけるような視線から、ふっと目をそらす。知らない、私は何も見ていないぞ。
フィウストの顔を覗き込むようにして見上げ、
「───あのね、魔法の使い方を教えて欲しいの」
と、言った。一度は何の引っ掛かりもなく聞き流したフィウストだったが、ん? と首を捻る。
「お前、あれは魔法じゃなかったのかよ」
「・・・・・あれ? 陛下から聞いてないの?」
てっきりクライシュが気づいて、ウェルバートに言ったと思ったんだけど───言いながら横を向くと、逸らされる顔。
「・・・・・おい、クライシュ」
「・・・・・、いやぁ~ウェルさんには言ったんすけどねぇ・・・・・つい」
「つい、じゃねぇよ。情報共有が大切だとあれだけ・・・・・!!」
「あ、あはは・・・・・てへ」
可愛らしく言ったクライシュの言葉に、フィウストが青筋を立てる。まあまあと宥め、何とか話題を変えようとこちらに視線を向けた。
「え、えっと・・・・・気づいていたんすね!! 俺が見破っていたこと」
「・・・・・、まぁね」
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