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本当は確信が無かった、という事実は言わないで頷く。あの時精霊と知って、よりこの男に対する警戒心が高まったからだ。
そんな時、前方から盛大なため息が聞こえてくる。言わずもがな、出所はフィウストである。
「もういい、その件は友人としてウェルに聞いてくる。それで、魔法の使い方だが───」
その先の言葉を期待する私に、残念だが、と無情にもその期待を打ち破る。
「俺は物理職専門なんでな、詳しいことは知らない。・・・・・魔法職のジジイ共に聞くのもアリだが、ベルセルトかルーシュ辺りの方が聞きやすいだろう」
───こればかりは仕方がない。元々その2人にも聞くつもりではあったが、中々見つからなかったので後回しにしていた。
んー、と腕を組んでフィウストを見上げる。
「ベル君とルー君かぁ・・・・・今どこにいるの?」
「・・・・・確か今は作法の時間だが、少ししたら魔法学の時間だからな。恐らく、もう中庭にいるだろう」
中庭というと、あの素晴らしい景色を見ることが出来る場所である。近くには、植物園という名の謎の建造物もあった筈だ。
フィウストが言うには、中庭に設置してあるテラスで勉強しているらしい。所謂、青空教室というものか。
「じゃあ、早速行ってみるね。フィーさん、ありがとう!!」
「ああ、くれぐれも破壊活動はするなよ」
「・・・・・、しないから」
───お前もか。
そこまで私は破壊神だと認識されているのか、と思うと少し悲しい。確かに、自分でもその気持ちがわからなくもないが・・・・・。
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