20.行使不可能

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後方に手を振ってから、微妙な気持ちのまま屋外へと向かう。その後ろからクライシュが声をかけた。 「・・・・・で、一つ聞いてもいいっすか」 「ん? なぁに」 振り返り首を傾げた私に対し、言いにくそうにクライシュが顔を逸らす。促してやっと、そのしかめた顔をこちらに向けた。 「───あれ、本当に遊びだったんすか」 数秒の葛藤の末、飛び出したのは予想外の台詞。──言葉が詰まってしまった。 すぐに返そうと用意していた回答が、喉の奥へと押し戻される。 「・・・・・・・・」 クライシュの言葉に無言で微笑むだけの私。少し間を空けてから、ニッコリと笑みを貼り付けて答えた。 「───気の所為じゃないかな? あれは遊び(・・)、だよ」 「・・・・・、俺には何かを試しているように見えたんすけど」 「・・・・・んー? おにーさんたちと遊んだだけだもん」 楽しかったぁと満足気に笑う私。───表情は崩さずに保ったままで。 「気の所為なら、別にいいんすけど・・・・・」 そう納得したように言葉を返したクライシュ。しかし、その顔からは若干だが疑心を抱いている様子が伺える。 それには気づかないフリをして、 「ほらほら、早く!!」 よっと一歩前に飛び出し、後ろを歩くクライシュに向けて手を振る。───クライシュには聞こえない声で、言う。 「・・・・・まあ、その遊び(・・)丁度良かった(・・・・・・)のは確か、かな?」 ───王宮騎士団員、その数総勢数十名。魔法、武器なしの体術勝負。 結果は、スタミナ切れにより騎士団員の負け。 一方、こちらは息切れ一つなし。体力も減ってはいないようである。 よってスタミナ、スピード共に問題なし。ただし技術が無く、全て身体能力任せである。脳の認識が追いついていない為、後々身体についていけない等の問題あり。 教育を受けるなど何かしらの対応が必要。 結論:騎士団レベルの人間数十名、魔法かつ武器禁止という条件下では数時間は耐えることが出来た。
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