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「・・・・・、ベル君、魔法苦手なの?」
「・・・・・魔法じゃねぇ、魔法『学』が苦手なんだ」
「あー・・・・・」
───こっちも本能型だったか。
魔法はルーシュ同様に得意そうな様子だが、知識系はそこまで得意ではないらしい。眉をひそめながらも、何とか覚えようと〝型〟を睨んでいる。
それを微笑んで見ているルーシュ。こちらの視線に気づくと、にっこりとウェルバート似の笑顔を見せてくれた。
何見てんの──という事ですか。そうですか。
「・・・・・とりあえず、魔法語辞典貸しとくね」
そう言うと、はい、と分厚い本を笑顔で手渡される。広辞苑並の本だ。
「いいの?」
「今は学園も休みだしね、暫く使っていても構わないよ」
紅い月の日の2週間前から、学園もお休み期間になるらしい。紅い月光による魔物の凶暴化を警戒してのことなので、その翌日からが通常授業だと言う。
それで、よく城にいるのを見かけたわけか。
私がルーシュから魔法語辞典を貰うのを見て、ロレンシオも懐から何かを取り出した。
「・・・・・なら、これも・・・・・必要」
小さなガラス容器に、何やら黒い液体が半分ほど入っている。正面のラベルには、魔法陣の模様が描かれていた。
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