21.白の魔女

6/18
前へ
/387ページ
次へ
これにはクライシュも首を傾げていた。 「・・・・・何なんすかね、これ。コウちゃんと出会った時と同じような・・・・・」 「私と、同じ・・・・・?」 私と似た感覚。───精霊族は魔素を敏感に感じ取ることが出来る。つまり、それらが意味する事は。 ───それは。 「・・・・・黒かっ!!」 何かが脳内によぎったような気がして、私は大きく前へと飛び出した。 後ろからクライシュの声が聞こえてくるが、それすらも振り切り、向かうのは───一人になれる場所、即ち自室である。 「おかえりなさ───どうなさいました?」 「ちょっと野暮用で!!」 このような状況でも尚、冷静さを保っているファーファラ。 しかし、 流石だなどと感心している場合ではなく・・・・・。 勢い良く自室へと飛び込むと、音を立てて扉を閉めた。外では、何やらクライシュとファーファラが話している声が聞こえる。 だが、今は聞き耳を立てるよりも先に確かめたい事があった。 インク壺と魔法語辞典をローブの内ポケットにしまう代わりに、取り出したのは1冊の本。 『伝説上の希少種族』 あの時はちゃんと見ていなかった。結局、クライシュに呼ばれて中断したのだった。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5934人が本棚に入れています
本棚に追加