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これにはクライシュも首を傾げていた。
「・・・・・何なんすかね、これ。コウちゃんと出会った時と同じような・・・・・」
「私と、同じ・・・・・?」
私と似た感覚。───精霊族は魔素を敏感に感じ取ることが出来る。つまり、それらが意味する事は。
───それは。
「・・・・・黒かっ!!」
何かが脳内によぎったような気がして、私は大きく前へと飛び出した。
後ろからクライシュの声が聞こえてくるが、それすらも振り切り、向かうのは───一人になれる場所、即ち自室である。
「おかえりなさ───どうなさいました?」
「ちょっと野暮用で!!」
このような状況でも尚、冷静さを保っているファーファラ。
しかし、 流石だなどと感心している場合ではなく・・・・・。
勢い良く自室へと飛び込むと、音を立てて扉を閉めた。外では、何やらクライシュとファーファラが話している声が聞こえる。
だが、今は聞き耳を立てるよりも先に確かめたい事があった。
インク壺と魔法語辞典をローブの内ポケットにしまう代わりに、取り出したのは1冊の本。
『伝説上の希少種族』
あの時はちゃんと見ていなかった。結局、クライシュに呼ばれて中断したのだった。
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