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「確か、この辺りに・・・・・」
目次を参考にペラペラとめくると、『希少種族:魔族』という見出しが見えた。
簡単な絵の横には短い文の羅列がある。
私はそれをじっと見つめた───描かれていたのは、希少魔族らしき少女。
まだ成長しきっていない幼い身体からは、先端がひし形の尻尾、そして頭部からは2本の角が。
その上、少々曲がった角には、紅い文字のような模様が隙間なく詰められていた。
『希少魔族』
通常の魔族の変異体として生まれた種族。主な特徴としては、角の模様や通常種とは異なる尻尾等が挙げられる。
通常種とは異なり、例外なく全ての魔素を肉眼で認識可能(色として見えるようだ)。また、操作可能。尚、全体的な能力も希少種の方が遥かに上である───
そこで文字を読む目が止まった。
「書かれていない・・・・・?」
落胆気味に呟いた言葉が宙に消えていく。何度、指で文をなぞって確認してみても、肝心な部分が書かれていない。
『希少魔族は黒色の魔素を保有している』
私の予想が正しければ、そう表記している筈。エンシャの体内に侵入していた魔素は、確かに黒かった。
──そして、私の魔素と交わったのだ。
そう、希少魔族である私の魔素と。
前々からの予想通り、私は希少魔族なのだろう。そして、エンシャを攻撃していた奴もまた───。
「希少魔族、か」
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