21.白の魔女

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そんな彼女がここにいるということは、もしかしたらエンシャは───もう。 ・・・・・いや、逃がしたのかもしれない。そうだと信じたい。 ───大丈夫だ、きっと。 彼女に対する怒りがない訳では無い。腸が煮えくり返るくらいその怒りは強い───が、それも一瞬だけ。 ───再び、感情の起伏というものが無くなってしまった。 これは推測にすぎないが、魔族故のものではないだろうか。もう、そうとしか思えない。 ・・・・・本当に私は、どうかしてしまったようだ。 ───それでも今は、この機会を上手く利用しなければ。希少魔族について知ることが出来るこのチャンスを。 ウェルバートとは違った緊張感が場を満たした時、ようやく私は沈黙を破った。 「───単刀直入に聞きます。あなたは〝希少魔族〟ですか?」 「ええ、4分の1程ですわ」 あっさりとその事実を認める。その顔は涼しげに微笑んでいた。 ───やはり、か。しかし、何故絶滅したはずの種族がここに・・・・・? 本の表記ミスとはあまり思えない。そうなると、どうしてもその謎が残ってしまう。 しかも4分の1という言葉。残りは普通の魔族だというのだろうか。 血は絶えていない、のか。 優雅に彼女は笑う。 「・・・・・貴方もでしょう?───膨大な黒い魔素が見えますもの。人工かしら、それとも生まれつき?」 ───人工? その言葉に戸惑いながらも、私はアリスの質問に答える。
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