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「・・・・・、いえ黒い魔素を取り込んだら、いつの間にか・・・・・」
アリスの表情がここで初めて変わった。不思議そうに首を傾げる。
「───取り込む? それはどのような方法で行ったんですの?」
一瞬、私の中で焦りが生まれた。これは失言だったのかもしれない。
そうなると・・・・・魔素を取り込むことは、不可能なのか?
目を泳がせながらも、何とか声を絞り出す。
「・・・・・えっと、それが普通に動かしただけで」
「動かし、た・・・・・それは本当に?」
見開かれたアリスの瞳。
ガタッとアリスが立ち上がり、驚愕の表情で身を乗り出した。
───・・・・・もはや上品さの欠けらも無い行動だ。むしろ私が驚いてしまう。
何やら考え込んでいたようだが、もしかして、と不意にアリスが呟いた。
「───空気中の魔素が操れるんですの?」
「はい、それが何か・・・・・」
それは当たり前に思っていたことだ。希少魔族なら、全ての魔素を操れる、と。
───その時、はたと気づいた。
それは、純粋な希少魔族の場合のみなのではなかろうか。
そうなると私は、要らぬ発言をしてしまったのでは。───それも、敵となる者に。
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