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宜しかったらおひとついかが、と手渡されたのは、シンプルなチェーンブレスレット。
見た目はただのアクセサリー・・・・・だが、それには黒い魔素が付与されていた。
───とても禍々しい黒。
これは何だろうか、とアリスを見ると笑顔で答えが返ってきた。
「付けた生き物を自分の奴隷に出来るブレスレットですわ。これは人間用で、効果は一週間ほど。───可愛い可愛いワンコのように従順になりますのよ」
「・・・・・奴隷、に」
「ええ、創造主様の血を引く私の黒い魔素は、『傀儡』の力を持っていますの」
人間の奴隷化を、当たり前のように語る彼女。
台詞とは裏腹に優しく微笑むアリスを見て、喉がごくりと鳴る。僅かにできた動揺を悟らせないように、震える手を押さえた。
───彼女はどこかおかしい・・・・・!!
人間用と言うのだから、当然他の用途もあるはず。もしかしたら、魔族用だって───
お礼を言うのが精一杯。ゆっくりブレスレットを内ポケットにしまって、ようやく安堵のため息が漏れる。
・・・・・どうやら私たちの敵は、想像以上にとんでもないらしい。
───冷静になって、すぐさま気になったのは彼女の発言だった。
・・・・・黒い魔素に『力』がある、と。確かに彼女はそう言ったんだ。創造主様の血を引いているから、とも。
私はその発言から推測する。
───ならば、突然変異種の血を引いている者は、何かしらの特別な付与効果を持っているのではないか?
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