21.白の魔女

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その前にアリスは、『人工』か『生まれつき』かとも聞いていた。つまり、黒い魔素は後からでも定着可能──ということだ。 そうなると、突然変異種の血を引く者は、『生まれつき』の可能性が高い。───そして、彼らは複数いるのだろう。 ・・・・・あくまでも推測だ。確信はない。俄に信じ難い点もあるものの、敵方に聞けるほどの余裕はない。 その時。 「───まあ、マナーを知らない下等生物(にんげん)がいますのね」 唐突に、アリスの表情がさっと険しいものへと変わる。やや低くなった声が鋭く尖った。 辺りを見回すアリスに、恐る恐る声をかける。 「アリスさん・・・・・?」 「・・・・・壁にメアリー、ですわ」 そう言うと、しぃーっと口元で人差し指を立てるアリス。 何がなんだかわからぬままに周りを見れば、不自然に広がっている(・・・・・・・・・・)白い魔素。 そして、右手に魔力を集め始めるアリス。 見る見るうちに体内の黒い魔素が渦を巻く。あっという間に球になるソレに、若干の寒気を覚えた。 「・・・・・アリスさん?」 「───私たちを隔離なさい、《遮断(ブロック)》」 その声に応じるかのように、アリスの手の中から黒い球が上へと飛び出す。 そして天井まで上がると、四方八方にその身を分散させた。
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