【閑話】とある騎士の語り

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その日の午後は、闘技場で実戦練習をする日だった。リアルな戦闘を間近で見られることもあり、意外にも人気がある訓練の一つである。 ノノ=シノサキの召喚する魔物も、人気の理由の一つだろう。 いつものように、友人と談笑しながら闘技場へと向かう。なんの変わりばえのしない光景。 だが、その日は『招かざる客』がいた。 『えー次の相手は──といきたい所です・・・・・が!! ここで、スペシャルゲスト(・・・・・・・・)をご紹介したいと思います』 その時に手を振っていたのは、副団長であるクライシュ。確かにスペシャルゲストだ、と他の団員からも歓声があがる。 王宮騎士団No.2の実力を間近で見られるのだから、そう興奮するのもわからなくはない。実際、僕も楽しみで仕方がなかった。 ───しかし。 『──この子が、次の挑戦者となるコウちゃんっす!!』 歓声の中、空気を読まずに響いた副団長の言葉に、耳を疑った。 『こ、こんにちは・・・・・コウって言います。えっと、今日から王宮で働くことになりました。どうぞよろしくお願いします』 礼儀正しくぺこりと頭を下げているのは、10歳ほどの華奢な少女。
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