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───団員の間で驚きが広がった。それは、少女の台詞。
『──あんな子供が働く? しかも、挑戦者だって?・・・・・何かの間違いじゃねぇのか?』
その言葉に他の同僚たちも同意する。
───王宮で働く事は、単なるバイトをする事とはわけが違うのだ。
馬鹿にするのと同時に沸き上がる不安。───このまま魔物と対峙したらきっと、彼女は・・・・・。
最低ランクのEであっても、戦闘経験があまり無いであろう幼い少女にとっては酷なもの。
公開処刑のようなこの場で、しかも一人でやらせるものでは無い。
しかもノノさんの公認とは・・・・・。
───このままでは、一方的な惨劇になってしまう。
その場にいる誰もが皆、そう思ったのだが──
『・・・・・なんだよ、これ・・・』
実際に行われたのは、確かに一方的な惨劇。だが、それは───少女側の方、だった。
一瞬で闘技場が炎の海へと変えられてゆく。避難する僕らの間で広がったのは、あの少女に対する恐怖。
あっさりとS級の化け物を倒したバケモノ。
アレを見せつけられて、どうして対面した際に冷静でいられようか───人間だと見ていられようか。
───否、無理だ。
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