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『ほら、めっちゃデカくね!? A+ランクの紅華竜だぜ』
そう言う同僚の手の中には、海のように青く綺麗な魔核。大きさも十分あり、透明度の高いそれは素人目でも高価なものだと分かる。
『やべーな、いくらするんだろ』
『うっわ・・・・・今度奢れよ? いいか、絶対だぞ』
『おうよおうよ、全員奢ってやらぁ』
───話が丁度盛り上がっていた所だった。
『ねーねー、私も仲間に入れて?』
その鈴の音のような声に導かれるように顔を向ければ、あの時の少女が。───僕たちは気づいていなかったのだ、クライシュとその少女が来ていたことを。
途端にピタリと話し声が止まる。誰もが顔を見合わせ、あれほど注目していた魔核でさえ目に入らない。
『あ、ああ・・・・・ど、どどどうしたのかな?』
───良くやった!!
漸く震える声を振り絞った同僚に、今凄く拍手を贈りたい。正に勇者である。
『・・・・・えっと、何で盛り上がってるのかなーって』
『ええっと・・・・・このお兄さんが、凄い魔物を狩ったんだ』
小首を傾げるその仕草がとても可愛らしい・・・・・が、この少女は化け物なのだと首を振る。───騙されてはいけない。
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