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周りも周りで怯える者もいる中、顔を若干赤らめている者もいるが・・・・・それは放置。
そんな事はつゆ知らず、少女───コウは聞く。
『それなぁに?』
無邪気な笑顔で指さしたそれは、隠そうと同僚が後ろに手を回したモノだった。
終わったな───そこにいる誰もがそう思った。きっと魔核は力づくで奪われ、彼は大損害を被るだろう。
『・・・・・、これがその魔核だ』
『わぁ、綺麗!! ───いいなぁ欲しいなぁ』
誰も何も言わない。ただただ生温い視線を男に送るのみである。そこには、『譲ってやれよ』という言外のメッセージが含まれていた。
『でもさーこんな子供が欲しがってるんだぜ? ここであげなかったら人間として・・・・・なあ?』
『そうそう、男が廃るってもんよ』
『んだんだ』
流石にこれには同情してしまう。そんな時、周りに憤慨していた同僚の目線がコウの手元に止まった。
『───って、お前のそれ・・・・・魔核か?』
一斉に集まる視線。然程注目していなかったそこを見て、僕もハッと息を呑んだ。
虹色の不思議な輝きを持つ───魔核。
見たことの無いソレは、悠然とそこに存在していた。
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