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私が意図せず破壊した闘技場の結界は、元々数年前に張ったものだと得意気にフレデリカが教えてくれた。
・・・・・そして今日、ここに招かれたのはそれを直すためだとも。
「それで修理費の事なんだが───」
「しつこいわね!! 何度言われても、これ以上は安くしないわよ。大体壊したんだから素直に───」
「そいつなんだが」
「───・・・・・はっ?」
「壊したのはそいつなんだが」
ウェルバートが静かにこちらを見る。すいっとその視線から逃げた所で、ウェルバートの視線を辿ったフレデリカと目が合った。
笑顔が引き攣る。
「・・・・・てへ」
当然助け舟を出してくれる者など存在せず、ウェルバートによって、事実はあっさりと明らかにされる。
「闘技場を結界共々破壊したのは、お前の目の前にいるその幼女だ。勿論、支払うのもそいつだぞ───いいのか? その金額で」
「・・・・・そ、それは・・・・・」
あれだけ強気だったフレデリカに、初めて狼狽えの表情が見えた。
───話から察するに、修理費は莫大な金額。
・・・・・少し引っかかった。
───何故、ウェルバートが値下げ交渉をしているんだ・・・・・?
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