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幼女に全額を支払わせるという鬼畜っぷりを、先日披露なされた皇帝様。もちろん、一国の王に逆らえるはずのない私は素直に従うしかない。
そこは別にいい。・・・・・だが、そうなるとやはりおかしい。
自分で払う訳でもない金を、何故ウェルバート自ら交渉しているのか。
単なる親切心? ───まさか。
───これは何か企んでいるに一票・・・・・か。
諦めに似たため息をついていると、フレデリカが震える声でウェルバートに言い返した。
「・・・・・うそ。・・・・・だって、あれはSランクの魔物の攻撃にも耐えるのよ? こんな幼い子がどうやって・・・・・」
「うそじゃないですよ? フレデリカお姉様」
ぱっと振り向いたフレデリカに、にっこり笑ってみせる。
呆然とする彼女だったが、はっと我に返ると、肩を掴んで私の目を覗き込んだ。
「・・・・・どうやったの? ───確かに、魔力量は多いようだけれど・・・・・それ全部はぶつけてないはずよ。例え、全力だとしても足りないわ」
じっと見つめてくる朱色の瞳。先程とは違い、とても真剣な顔である。
・・・・・困った。非常に困った。
ここで素直に話しても、信じてくれないのがオチ。
黒い魔力をそこそこ出したら、壊れちゃいましたてへ・・・・・なんて、簡単に信じる方が寧ろ怪しい。
───ここは誤魔化すしかない!!
ぎゅっと手を握った私は、にへらと笑顔を浮かべた。
「えへへ、わかんなぁい・・・・・です」
「か、か・・・・・かわいいっ!!」
瞬間、間も開けずに再び訪れる圧迫感。ぎゅむーっと柔らかな身体に包まれ、「うぇっ!?」と変な声が出る。
・・・・・本当に勘弁してほしい。圧迫で死ぬとか笑えない。
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