23.創作魔法陣

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「まずは前座として、氷の竜をご覧下さい」 これは以前ウェルバートにも見せた技。空気中の魔素を変換し、竜の形にするというものだ。 前はこれがメインだったが、今回は違う。 ───今回は、時間稼ぎ(・・・・)の為だけに行う。 「それでは───いきます」 息を一息。緊張していた身体を落ち着かせ、私は前を見据えた。・・・・・ここからだ。 ピンと張り詰める緊張感が肌を刺激する。 最初は、前戯。白い魔素を竜の形にゆっくりと整えながら、同時に〝型〟を自身の魔素で描く。 二人の前で身体をくねらせる竜の周りに数個の型。それらは、竜を囲むようにして無造作に設置させる。 そこに向けて私は手を伸ばした。 そして練習した通りに、黒い魔素を飛ばし文字の形を作る。 「───《魔素変換》」 全ての下準備は整った。あとは唱えればいい。 私は白い魔素にだけ意識を集中する。流動的で立派な竜の形に── 「《氷》」 その一言で、刹那、二人の目の前に巨大な竜が現れた。 それはあっという間にこの場にいる全員の視線を奪ってしまう程。 まるで水中を揺蕩(たゆた)う鯉の如く、美しい曲線を描きその場で停止している。 ───熟練の職人が数年かけて作り上げたかのような造形物。 鱗一つ一つがシャンデリアの光を反射し、淡い虹色を放つ。離れている場所であっても、身震いする冷気が肌を撫でた。 「うっわ」と、思い出したかのようにフレデリカが呟く。無意識にその身は前へと乗り出していた。
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