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「───貴方、あの子をどうするつもり?」
コウが去り、しんと静まり返った大広間。フレデリカは、出された紅茶を一口口に含ませる。
フンと鼻を鳴らすウェルバート。さあな、と素っ気なく言葉を返す。
「俺としては飼い慣らすつもりだが・・・・・精霊がな」
「あーあ。まぁた、クライシュ君を困らせてるー」
おちゃらけた様子で、フレデリカは肩をすくめる。
しかし、すぐに真面目な表情に戻ると、紅茶が残ったティーカップをテーブルに置いた。
「・・・・・でも、その言葉が本気ならやめた方がいいわよ。あの子はきっと脅威になるわ───貴方にとっても、私たちにとっても」
「お前もそんなことを言うんだな。───怖いのか?」
微かに笑うウェルバート。
最後の台詞はやや冗談じみた言葉だったが、フレデリカは真っ直ぐな瞳で答えた。
「ええ、そうよ」
その回答に、珍しくウェルバートが面を食らったような顔をする。
そんなウェルバートの様子は気にせず、フレデリカは言葉を続けた。
「・・・・・コウちゃんが行使した魔法の全て、そこに彼女の魔力は感じられなかったわ。感じたのは最後のショーだけ───彼女が魔法陣と言ったアレよ」
一言間を置いて腕を組む。
「でも、それも空中にちらほらとだけ。大した量じゃないわ。・・・・・これがどういうことかわかってる?」
「魔力をほとんど使わずに魔法らしき術を使う、か?」
「───・・・・・何よ、わかってるじゃない。なら、話は早いはずよ。あの子を今すぐ殺───」
「いいのか、それで」
顔を歪めて発せられた彼女の台詞に、ウェルバートが言葉を重ねて遮った。
途端に歪むフレデリカの顔。
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