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「・・・・・嘘くさいわね。未知なる強者だから、刺激したくないとでも? 貴方がそんなことを気にするの?」
案の定、黙り込み目を逸らすウェルバート。
その僅かな動きをフレデリカは見逃さなかった。視線を追いかけるようにして問う。
「───本音は?」
「・・・・・、単純に興味が湧いただけだ」
「そう・・・・・何処の馬の骨かもわからないような子供でも?」
静かに呟かれた言葉は少し刺がある。珍しいな、とウェルバートは、横に座るフレデリカを見やる。
「お前がそこまで言うなんてな」
「・・・・・心配してあげてんのよ。数少ない友人として、ね」
冗談とも取れない台詞に、嘲笑するウェルバート。
「はっ、それはありがたいことだな。───ついでに協力してくれないか」
不意に出された協力の申し出。突然のソレにも関わらず、フレデリカは疑問すら思い浮かべなかった。
予想通り、と言わんばかりの表情だ。少し怒ったような顔で言葉を吐き出す。
「態と、でしょ?」
対して微動だにしないウェルバート。音を立てず、紅茶を口に含む。
「・・・・・、何がだ?」
「今日のショーを見せたのも、私に秘密を共有させて無理にでも協力させる気だったのね。───私が、幼女相手に酷いことは出来ないと知っていて」
「・・・・・・・・」
淡々とフレデリカは自論を告げる間も、ウェルバートの表情は動かない。黙ってそれを聞いている。
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