24.疑惑

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そう言い切ったウェルバートの脳内には、先日見たとある本が浮かび上がっていた。 『伝説上の希少種族』 突然本棚に現れ、そしていつの間にか消えていた本。───そこに載っていた情報はどれも常識外れで信じ難いものだったが、何故か記憶に引っかかっていたのだ。 まさかな、とあの頃は切り捨てたものでも、後々になってその可能性が見えてきたのである。 「───で? もし、人間じゃなかったら? ・・・・・すっぱり切り捨てるのかしら?」 こちらを伺うフレデリカに、まさか、とウェルバートは鼻で笑った。 「せっかく手に入れた玩具だ、簡単には手放さない」 「・・・・・でしょうね。聞いた私が馬鹿だったわ」 額を押さえて深く息を吐くフレデリカ。───そうだった、この男はこういう性格だった。 「それに例え目的があるなら、力任せにでも達成するだろう。それが成されていない、という事は、あいつはこの状況に満足している」 「・・・・・まあ、そういうことになるのかしら」 「恐らく、目的は不自由のない衣食住と金・・・・・くらいか。───もし隠れて何かをするようであれば、躊躇なく殺すつもりだ」 「その為のクライシュ君?」 ウェルバートは無言で頷く。それは肯定の意。 なるほどね、とフレデリカは納得する。人間ではないかとしれない存在を監視するには、もってこいの人材だろう。
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