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「・・・・・、何故そう言い切れる?」
「所有する国は一部だけ、もちろんこの国ではないわよ。しかも、その存在を知る者は極わずかのSランク冒険者と研究員の幹部のみ」
きっぱりと断言したフレデリカには、やはり相応の根拠があるのだろう。桃色の髪をひと房耳にかけ、細めた紫の瞳がウェルバートを見据える。
「───昔、興味本位で調べた事があるのよ。ある男性から噂を聞いて、ね」
結界術師としても知りたかったし、とフレデリカはウェルバートの横で片目を瞑ってみせた。
それを軽く受け流すと、もうっ、とフレデリカは頬を膨らませる。・・・・・昔から変わらぬその性格に、頭が痛くなってきた。
「・・・・・とにかく、俺は見たんだ。『伝説上の希少種族』という本でな」
「聞いたことがない題名ね・・・・・それで、それは何処にあるの?」
「消えた」
「・・・・・冗談言ってると、一生結界に閉じ込めるわよ」
「冗談じゃない、本当に無くなった」
真剣みを帯びたその台詞は、とても冗談には聞こえない。
ウェルバートと同じように声は小さくしたまま、フレデリカは目を丸くした。───これは冗談ではないようだ。
「そんな馬鹿なこと・・・・・。ちゃんと探したの?」
「当たり前だ。まだ全部読めていないのだからな・・・・・読んだのは『希少竜族』『希少精霊族』『希少エルフ族』『希少魔族』の4項目だけだ」
「・・・・・結構読んでるわね、初めて貴方が羨ましいと思ったわ」
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