24.疑惑

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フレデリカも〝銀朱の守り人〟としてのコネ(・・)を利用して情報を得ていたが、それでも知ることが出来たのは僅かな情報のみだ。 その1冊でそれ程の情報が込められているとなると、一部の者にとっては喉から手が出る程、欲しいと思うに違いない。 その一部の者(・・・・)の悔しがる顔を思い浮かべ、笑みを漏らしたフレデリカだったが、こちらを見つめるウェルバートを見てすぐに笑みを消した。 「───なら知ってると思うけど、その〝希少〟は絶滅したのよ。今では全く見かけないらしいわ」 「絶滅していないとしたら(・・・・・・・・・・・)?」 「・・・・・何ですって」 「もし、彼女が希少種族だとしたら、これまでの事に説明はつくか?」 ウェルバートに言われて、フレデリカは押し黙った。今までのことを思い出す。 Sランクの魔物の攻撃さえも防ぎ切る結界の破壊、人間の擬態の為の高度な幻属性魔法の維持、そして。 ───今さっき見た摩訶不思議なショーだって。 フレデリカは無意識に身震いした。あくまでも可能性のひとつに過ぎないのに、パズルのピースが当てはまったようにしっくりくる。 「説明がつくんじゃないか?」 「確かに辻褄は合うけどっ・・・・・そんなわけないでしょ!? 希少種族は絶滅したのよ!! それに、あの子が希少種族という証拠だって・・・・・」 荒らげた声は思いの外大きく響き渡った。はっと我に返り再び声を小さくする。 「と、とにかく私は信じないわ。可能性はゼロに近い・・・・・」 「だが、ゼロではない」 芯の通った声に遮られ、フレデリカが口を噤んだ。観念した風に小さく両手を上げる。 この男にはどこか頑固な部分がある。ここまでくると中々自分の意見を変えないだろう。 ここで言い合っても不毛、そうフレデリカは考えた。
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