24.疑惑

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「はいはい、わかったわよ・・・・・。可能性は無きにしも非ず、でしょ?」 「そうだな」 ようやく満足気な笑顔を見せたウェルバートの横で、やっとか、と息を吐いた。 ───希少種族説も完全に否定できる訳では無い。 確かに、人知を超えた力を説明するならば、その者が人知を超えた存在とするのが手っ取り早いのも事実。 ───でも、人間を超えた存在は勇者だけで充分だわ・・・・・。 以前立ち寄ったアチェレッタ王国。そこで見た勇者を思い出し、思わず痛くなったこめかみを押さえる。 フレデリカが知っている数でも、勇者は3人程いる。その中でも飛び抜けた存在が1人。 魔物増加の原因とされている(・・・・・)魔王を倒すために異世界召喚された筈だが、それが牽制云々・・・・・人間の戦争の道具に利用されているのは如何なものか。 ───ああ、これでまた戦況がひっくり返るのだわ・・・・・アホのせいで。 唐突に、ウェルバートが「どうした」と怪訝そうに見る。「大丈夫」と若干顔を顰めながら答えた。 「バカ勇者のことを思い出してただけ・・・・・それより、あの子が希少種族だとしたら何の種族なのよ?」 「そこまでは分からない。・・・・・ただ、気になる追記はあったぞ」 そう言うと、ここへ来て初めて楽しげな微笑を見せる。それだけで、フレデリカの心には嫌な予感が胸一杯に広がった。 知りたいが、知ってしまったら・・・・・なにか面倒事が起こる気がする。
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