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結局、心の中の葛藤は好奇心が勝ち、恐る恐る「・・・・・どんな?」と聞いてしまった。
返ってきたのは、聞き慣れない新しい単語。
「〝変異種〟がいるらしい」
「へんい、しゅ? ───変異種、ですって?」
まるで言葉を知らない赤子のように、フレデリカはその単語を反芻する。まともな言葉にするのに少し時間がかかってしまった。
「・・・・・何よ、それ」
「恐らく、変異体が子を産み種族となった───」
「そんなことはわかってるわよ!! そうじゃなくて、希少種族の変異種って・・・・・」
「言っておくが、嘘はついていない」
生物の変化。それは、基本環境に適応するべく身体を変化させる・・・・・つまり、より適応力と力のある種となることだ。
普通種が変異体になるだけでも、相当なランク差がある。───それが希少種ともなれば、どうなるだろうか。
フレデリカは絶句した。想像もしたくない。
「・・・・・そんなこと」
ありえるの? と続けそうになって、言葉を飲み込む。
こんな事で彼は嘘をつかない。それにその本だって、信憑性は低くとも嘘を書く利点はない。
そうなると、結論は一つだけ。
「・・・・・、俺も出来れば信じたくはないんだがな」
「ええ、私もよ。・・・・・貴方と同じ意見っていうのは気に入らないけど」
「・・・・・どういう意味だ」
「あら、そのままよ」
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