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現在に存在するかどうかは別として・・・・・希少種族の変異体は、存在していた。それも、一種族として。
それはどんな化け物なのか、気になる所もある。
過去に調べていた事もあり、久しぶりにフレデリカの好奇心が疼いた。
顔をしかめるウェルバートとは対照的に、若干キラキラと目を輝かせて聞く。
「それで、その追記の内容は?」
「・・・・・おい、好奇心がダダ漏れてるぞ」
そのだらしない顔を引き締めろ、と言われて初めてフレデリカは、しまった、という顔をした。
真剣な表情を保とうとするも、笑顔を堪えられずにひきつく口元。傍から見ても、フレデリカがこの件に興味を持っているのが分かる。
「ごめんごめん、昔調べてたから・・・・・つい」
興味があるものにはとことこん、興味がないものにはさっぱり───それがフレデリカである。
今も変わらない友人の姿を見て、まあいい、とため息と共に言葉を吐き出した。
「───〝変異種は黒色の魔素を所持、なお魔法は使えない〟」
「・・・・・魔法が、使えない・・・・・」
確かめるようにフレデリカが繰り返す。だが、ふとおかしい点に気づいた。
「ちょっと待って、それはおかしいわ。だって希少種は魔法が使えるのでしょう? なら、なんで・・・・・」
基本、変異体というものは環境の変化に応じて、以前よりも良い方向に変異した個体である。
魔法が強化されたのならまだしも、使えなくなったとは考えにくい。
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