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「・・・・・、俺が何でも知っていると思うなよ」
不機嫌そうに睨みつけられ、わざとらしくフレデリカは大げさに驚く。
「あら、完璧人間さんにも知らないことがあったのね」
「・・・・・今すぐ、顔ごとその口を削ぎ落としてやろうか」
「冗談よ、冗談」
唸り声のような低い声がこだまする。フレデリカは笑みが混じった表情で笑った。
昨日今日で知った希少種族なのだ。いくら博識なウェルバートでも、知らないのは仕方がないことである。
それでもフレデリカがからかってしまうのは、彼の反応が楽しいからなのだろうか。
「でも、その追記はとても良い情報だわ。───当たればわかるわよ」
「・・・・・、当たらなければ振り出しに戻るがな」
「・・・・・それは言わないで」
魔力があれば、魔法が使える───というのが常識。詠唱を唱えれば、精霊魔導師出なくとも〝補助〟してくれる為、手順さえ間違わなければ失敗はない。
そして、コウという少女は魔力を持っている。あとは、魔法が使えるか否かだが・・・・・。
フレデリカの形のいい眉が歪んだ。
「・・・・・あれって魔法なのかしら?」
疑問の声が響き渡る。
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