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「・・・・・はい?」
フレデリカは素頓狂な声を上げた。それだけウェルバートの台詞が信じられなかったのだ。
空気中の魔素を操るなど聞いたことがない。
───あれは、空気中の魔素を使っていたとでも言うの・・・・・!?
開いた口が塞がらない、とはこのことか。
今までの常識が全てひっくり返されるような推論。到底信じることができるものでは無い。
そんなフレデリカの心中を察したのか、ウェルバートが言葉を重ねる。
「───ありえない・・・・・と言いたい所だが、精霊であるクライシュがそう断言したんだ。あながち見当はずれということもないだろう」
人間よりも精霊の方が、魔力感知には長けている。ウェルバートがそう判断するのも頷ける。
それでも、ウェルバートらしくない発言だとフレデリカは思った。
「・・・・・、私だってクライシュ君を否定したくはないわよ。でも、流石にこれは非現実的じゃない?」
「そこまで言うなら、他の可能性があるんだろうな?」
「・・・・・そ、それは」
威圧的なウェルバートを前に、言葉が詰まった。他の可能性、と聞かれると弱ってしまう。
結局、無言で固まったフレデリカを見て、ウェルバートは諦めのため息を吐いた。
ほれみろ───そう言いたそうな表情である。
「・・・・・、わかったわよ。確かに、クライシュ君の説なら納得できるわ。───これで、更に濃くなったわね」
「そのようだな」
「貴方って人は・・・・・どこまでも他人事ね。驚かないのかしら?」
「・・・・・『伝説上の種族』を読んだ時、ある程度予想はついていたからな」
腕を組みながら、お前も知っているはずだぞ、とフレデリカの目を見る。
いきなりそう言われても、フレデリカにはさっぱり心当たりがない。
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