24.疑惑

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去っていくフレデリカの背中を見送りながら、ウェルバートは腕を組む。その顔は珍しく困惑していた。 その原因は、先程思い出されたことだ。・・・・・確か、闘技場は空気中の魔素量が薄かったのではないか? 空気中の魔素を扱うと仮定した採用試験だったはず。 『突然炎の海が現れて、気づいた時には結界が破られていた』 にもかかわらず、結界が破られた原因は魔法。 そして、あの本に書かれていたこと。フレデリカが知らない程だ、広くは知られていないのだろう。 〝通常種とは異なり、例外なく全ての魔素を肉眼で認識可能(色として見えるようだ)。また、操作可能〟 これは空気中のみならず、自身の魔素を扱えることを指す。つまり、二種類の魔素を同時に操れるということ。 あとは、フレデリカが言った疑問だ。 『───確かに、魔力量は多いようだけれど・・・・・それ全部はぶつけてないはずよ。例え、全力だとしても足りないわ』 一時的でも体内の魔素が〝完全に〟無くなれば、意識を失うことになる。その為、身体は無意識に力をセーブし、完全に魔素を使わないようにしている。 それらから導き出される事は。それはつまり。 〝空気中の魔素と少女の魔素を合わせても、結界の破壊には繋がらない〟 〝しかし実際、結界は壊れた(・・・)
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