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その言葉を聞いた瞬間、私は跳ねるように顔を上げた。ばっちりアリスと目が合う。
「・・・・・その竜はどこに」
「さあ? 知りませんわね。見かけただけですわ───それに、私は別の拾い物をしましたの」
「拾い物・・・・・?」
艶めいた笑みを見て、眉をひそめた。───何故か寒気がする。
ごくり、と唾を飲み込んだ。
「・・・・・、ええ。とっても美しい人形ですわ。今、家にいますのよ。黒髪で金目の───」
「黒髪で金目・・・・・の」
その言葉は、私の中で冷たく響いた。どくん、とやけに大きな鼓動が身体を震わせる。
───その言葉を聞いて、脳裏に浮かんだのは1人だけ。
そう、私を送り一人あの森に残った・・・・・。
ぱちりぱちりと、頭の中でパズルのピースが当てはまっていく音がする。
森、首の痛み、人形、腕輪───〝奴隷〟
───パチン
「・・・・・!!」
一際大きな音をたて、ソレは繋がった───。
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