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───よりによってこんな時に・・・・・!!
場の空気を壊す明るい声を聞いて、思わず歯ぎしりしたくなった。
しかも、よりによって精霊クライシュである。
これでは表立って力を使えないばかりか、せっかく見つけたものを見逃すことになる。
目撃者がいなければ、どうとでもなったのに。
どうやって追い返そうかと考えていると、アリスの口が開いた。
「───あのお人形さん・・・・・貴方のでしたのね・・・・・そう・・・・・」
長いまつ毛を伏せ、憂うような表情でアリスは話す。さっきまでは明るかった口調が、今は暗く低く不気味に聞こえてくる。
人が変わったようにブツブツと不気味に呟く彼女を前にして、私は内心の動揺を隠せずにいた。
所謂〝病んでる〟という状態だろうか。・・・・・元々の美しさと合わせると、より一層不気味である。
アリスのその様子は暫く続く───かと思いきや、いきなりパッと顔を上げた。
女神のような微笑みを浮かべ頬に手を当てる。その桜色の唇が発したのは、とても残忍な言葉だった。
「なら───死んでくださいます?」
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