25.相対

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「・・・・・っ」 若干トーンが下がった声。黒々とした雰囲気に呑まれそうになり、無意識に後ずさってしまう。 絶対これ、やばいやつだ。 「・・・・・何で、いきなり」 「だってそうでしょう? ・・・・・私の大切な、たぁーいせつなお人形さんを盗ろうとする悪い子は殺さないと(・・・・・)」 苦い顔で捻り出した疑問も、理解できない回答で片付けられてしまった。 お仲間でも、泥棒さんはお仕置きですわ───ふふふ、と楽しそうに笑うアリス。 「そうですわ」と、まるでいい事でも思いついたかのように、彼女はポンと手を合わせた。 弾んだ声でこちらへと近づく。 「私以外の同族さんがどう戦うのか、前々から興味がありましたの」 「じゃあ、ここで・・・・・」 やるのか、と一瞬身構えたが、アリスは戦意を微塵も感じさせない仕草で「でも困りましたわ」と息をついた。 「私、これから愛する子供(ペット)たちに、お夕飯を作らなければならなくって・・・・・残念なことに、お相手が出来ないんですの」 その代わりに、彼が(・・)相手をしてくれますわ。 アリスが最後にそう言った台詞。〝彼〟という言葉が指している人物に、ふと思い当たった。 「・・・・・まさか」
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