25.相対

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「そう、〝彼〟ですの。・・・・・でも、可愛くないので使い捨てですわね」 口元に手を当てるアリス。 そこに集められた黒い魔素の量を見て、身体が強ばった。 彼女の魔素の性質は───〝傀儡(マリオネット)〟 そして、舌舐めずりをするアリスの視線の先には。 「───クライシュ!!逃げ・・・・・」 アリスの思惑に気づいた時にはもう───遅かった。 まさか自分に来るとは思っていないのだろう。呆けたクライシュの顔が一瞬見えて・・・・・刹那、遮られた。 それは、ほんの数秒の出来事。僅かに遅かったのだ、私は。 その場に崩れ落ちそうになる身体を、華奢な足で支える。 ───間に、合わなかった。 「ごきげんよう、そして・・・・・」 アリスは逃げようとする彼の腕を掴み、耳元で囁く。───それはまるで口づけをするようにも見えて。 「さようなら(・・・・・)」 彼女がそう言い切った時、その顔は妖艶に微笑んでいた。
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