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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「もうっ、少しくらい教えてくれてもいいのに」
だから、際限なく敵を作るのよ。全く・・・・・。
ウェルバートへの不満をグチグチと呟きながら、長い廊下をフレデリカは歩く。目的地は中庭の先にある闘技場である。
それにしても、闘技場の結界が壊れたという連絡が来たのには驚いた。毎日使われるとはいえ定期的に直していたし、上位結界だから暫くはもつだろうと安心していたのだが。
「・・・・・完全に想定外の出来事だわ」
こうもあっさり壊されると、何だかやるせない気持ちにもなってくる。しかし相手は幼女だ、流石に怒りは沸き上がらない。
世界中の幼女は、誰がなんと言おうと〝正義〟・・・・・それが、フレデリカの信念である。
先程のウェルバートとの会話で、彼女が希少魔族という可能性も浮上してきたが・・・・・幼女は幼女、フレデリカにとっては最も愛すべき存在だ。
殺したいとも思わないし、殺そうとも思わない。
くりくりの紅い瞳、幼い故の小さな身体、ふにふにと柔らかい白い肌───思い出すだけで、きゅんと胸の奥が高鳴る。
もちろん、フレデリカも成人した女性。あんなことやそんなこと・・・・・色々したいことはあるのだが。
「・・・・・まあ、それはおいおいするとして・・・・・。まずは結界の修理ね」
闘技場へ行くには、一度中庭を通らなければいけない。フレデリカの足は迷いなく出口へと向かう。
───と、突然何かにぶつかった。
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