25.相対

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トン、とぶつかってきた〝何か〟を軽く受け止め確認すると、それは人だった。 「あ、ああ!! 申し訳ございません!!」 「・・・・・いえ、いいのよ。気をつけてね」 腰を直角に折り曲げ必死に謝るのは、この城で働いている侍女(メイド)の1人。あまりの必死さにフレデリカも若干引き気味である。 よくよく見ると、何故だか顔が青ざめていた。そればかりか、瞳は潤み今にも泣き出しそうな表情だ。 ───・・・・・どうしたのかしら。 手ぶらのまま、慌てて何処かへ向かう───フレデリカにはそれが気になった。 「───ねえ、そんなに慌てて一体何が・・・・・」 あったの───そう聞こうとしたフレデリカは、最後まで台詞を言うことができなかった。 必死の大声が廊下に木霊する。 「本当にすみません!! 急いでいますので、私はこれでっ・・・・・!!」 「あ、ちょっと・・・・・」 フレデリカの制止も聞かず、ばたばたと慌ただしく駆けていくメイド。その姿はあっという間に廊下の角へと消えていった。 ───・・・・・一体、今のは何だったの・・・? さらに気になるのは、最後に彼女が言っていた言葉だ。 〝早くウェルバート様にお伝えしなければ・・・・・!!〟 その言葉が何を意味するのか。そのままの意味なのか、それとも・・・・・。
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