26.中庭にて

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数週間経った今だが、不思議なことにあの時よりも格段に感覚が鋭くなっていた───それに。 増えてきているような(・・・・・・・・・・)気がするのだ(・・・・・・)、体内の魔素が───それも日に日に。 あの時はまだ薄かった黒色も、今は深い闇を見ているような漆黒だ。・・・・・それは、ただの杞憂かもしれないけれど。 だからこそ、余計に使うのが怖い───が。 ───・・・・・そうも言ってられないな。 一瞬の隙をついて大きく飛び退く。十分に遠く離れた所で私は手を振った。 何かを察してクライシュが動くが、もう遅い。 「魔法陣発動!!」 その声に合わせるようにして、地面が輝き始める。円状に浮き上がった文字は───《氷塊枷固定》。 無表情だったクライシュの顔に、初めて変化が現れた。 生き物のようにくねった氷が、クライシュの足に絡みつく。逃れようと藻掻くが氷はビクともしない。 ───それもそうだ。何故なら、純粋な黒い魔素で作り上げたのだから。暴走しないようにじっくりと。 私だって避けていた間、馬鹿みたいにぼーっとしてたわけじゃあない。ピーナッツ程度の脳みそを頑張って回転させているのだ。 ・・・・・、誰か褒めてくれてもいいのよ?
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