26.中庭にて

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───いや、まさか。だとしても、どこで・・・・・? 黒色の魔素は元々、希少魔族の変異体から発見されたもののはずだが───なぜ、精霊種が? ぐるぐると疑問だけが巡る。気づいた時には、既に距離を詰められていた。 目の前に突然として現れたのは、こちらへ手を伸ばすクライシュの姿。 ───その手は的確に首元を・・・・・頚動脈を狙っていた。 「───っちょ、ちょっとタンマタンマだって!! 少し考え事をしてただけだからぁっ!!」 本能で勝手に身体が動く───が、遅かった。 「・・・・・かっ・・・・・は」 一瞬早かったクライシュの腕が、私の服を掴み地面に押し付けた。背中越しに衝撃が伝わり、肺の中の空気を吐き出す。 ちくちくした草の感触が頬に痛い。クライシュの顔が逆光で暗く見える。 無表情な顔が。 「クライシュ・・・・・っ!!」 胸ぐらを掴む手を退けようとしても、何故かピクリとも動かない。情けないことに、歯を食いしばり力を込めても、この状況は変わらなかった。 ───・・・・・精霊にも敵わない、か。仕方ないのかもね、中身はただの人間だし。
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