26.中庭にて

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《固定》も《霧散》も使えない。白い魔素はクライシュの黒い魔素の発現により効果無し、かと言って黒い魔素では暴走してしまう。 正に八方塞がりだった。 干渉できなければ、当然その中に溶け込むアリスの魔素も取り出せない。いくら見えていても、手を出すことはできないのだ。 ・・・・・恐らくは精霊故に。 ───こんなことっ・・・・・じゃあ、私じゃ・・・・・ ダメなのか、と口に含んだ言葉はとても弱々しい。生理的に浮かんだ涙が肌を伝い地面を濡らす。 更に力を込められ、食いしばった歯が離れた。───力が、出ない。・・・・・私はどうすれば。 このまま息の根を止められてしまうのだろうか、と思ったその時。 突然、頭の中でコロコロと鈴を転がすような声が響いた。 ───コワシチャエ 瞬間、目を見開く。少女らしき可愛らしい声・・・・・だが、全く身に覚えのない声だ。・・・・・何処と無く懐かしい気をもするが。 これは、誰? ───ジャマスルヤツ、ゼンブコワシチャエ ソレは再度響く。・・・・・可愛い声なのに酷く不気味だ。 耳鳴りにも似たソレに、私は少し顔をしかめる。 と、同時に首に強い力が加わった。ミシリと骨が軋む音がする。
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