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「どうしよう・・・・・」
回復魔法は疎か、魔法すら使えない。クライシュの魔素に干渉はできないし、そもそも自分の魔素で何が出来るかなんかはたかが知れてる。
絶えず流れる血が視界に入り、喉の奥から何かがこみ上げてきた。思わず両手で口を押さえる。
そこでハッと我に返った。
「血・・・・・!! そ、そうだ。とりあえず血を止めなきゃ・・・・・」
尋常ではない血の量だ。失血死という概念があるのかは分からないが、このまま放ってはおけない。───今は謎の声よりもそれが先だ。
立ち上がって辺りを見回す。
「包帯・・・・・はないか、代わりになにか・・・・・」
何もないことぐらいは自分でもわかっている。こんな長閑な中庭に、包帯の代わりが置いてある方がおかしい。
それでも、藁をも掴むような気持ちで探す。・・・・・とにかく何かに縋りたいのかもしれない。
───そうだ、と思い出した。どこかの本で、服を破ることで包帯の代わりにしていたはずだ。
服に手をかけた時、ふと人の気配を感じて横を見る。
「・・・・・っ」
城の中へと繋がる扉の向こうに誰かがいる。背に走る緊張感にごくりと唾を飲む。
ドアの開く音がした。
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